ことばの発音でのお悩み

ことばの発音でのお悩み

発音が苦手になる要因

器質性構音障害

発音に必要な口唇や舌などの形や機能に異常があるため、正しい発音ができない状態を指します。例えば、口蓋裂や口唇裂、舌の動きを制限する舌小帯短縮症などが含まれます。この場合、医療機関の受診や治療が望ましい場合があります。

運動障害性構音障害

神経や筋肉に障害が生じ、発音に必要な口唇や舌などの動きが制限される状態です。例えば、脳梗塞などの脳卒中やパーキンソン病、頭部外傷などが原因となります。この場合、発音だけでなく、声のリズムや速さ、アクセントにも影響を与えることがあります。

聴覚性構音障害

難聴などの聴覚障害が原因で正しい発音を学習できない状態です。具体的には、正しい発音を聞き取る事ができず、自分のことばの発音も正確に聞き取れないために生じます。この結果、正確な音の発音に影響を与えることになります。

発達やことばの遅れを伴う発音の苦手さ

実年齢に比べて全体的な発達やことばの獲得が遅れていることが要因で、発音の苦手さに影響が出ている状態です。一つ一つのことばを聞き取る力の弱さからことばの獲得段階での誤った学習が影響している可能性があります。

機能性構音障害

発声や発音に関する障害の一つであり、ことばを発するために必要な口唇や舌などの器官に明らかな異常がないにもかかわらず、ことばがうまく発音できない状態を指します。この障害は特に幼児期に見られることが多く、発音の仕方に特有の癖が出ることがあります。

機能性構音障害には以下のようなものがあります。

側音化構音

発音時に舌が正しい位置にないため、呼気が口の側面から流れ出てしまうことで音が歪む現象を指します。特に、い列(ち・し・じ・に・ひ・き・ぎ・りなど)の音が言えないことが多く、音が濁ったり、誤って他の音に置き換わったりすることが一般的です。また、発音時に口角が引きつったり、唾液が絡むような音がすることもあります。このような特有の発音のくせがあるため、正しい発音に必要な舌の力が弱くなることが多いです。

口蓋化構音

特定の音の発音において、通常は舌先を使うべきところで、舌の中央部分が上顎に接触する現象を指します。主に「さ行」「た行」「つ」「な行」「ら行」などの音に影響し、多くの音声が「か行」や「が行」に似た音に歪むことが特徴です。例えば、「た」は「か」に、「さ」は「ひゃ」や「しゃ」に聞こえることがあります。

鼻咽腔構音(開鼻声)

鼻咽腔閉鎖不全によって引き起こされ、口腔と鼻腔の間にある弁の役割をする筋肉が正常に機能せず、完全に閉鎖できない状態を指します。この状態は、発声時に鼻腔に空気が漏れ出るため特に子音を発音するときに問題が生じ、開鼻声と呼ばれる特有の声が発生します。口蓋裂などの器質的な要因がある場合は、医療機関の受診や治療が望ましい場合があります。

声門破裂音

発声する際に声門(喉の奥に位置する声を作り出す部分)を破裂させることによって生じる音です。この音は、通常の発音に必要な口内の圧力を十分に作ることができないため、母音を強く発声したように聞こえます。したがって、「ぱんだ」という音が「あんあ゛」のように聞こえるなど子音を発音する際に、他の音に比べて特徴的な音を出すことが特徴です。

まずはご家族様からお子様の発音の様子を伺い、発音の評価の上で目標設定を行います。

この際、口唇や舌の形や機能に異常がある器質性構音障害や耳の聞こえに問題がある場合は、医療機関の受診を勧めさせて頂く場合があります。また発音の訓練開始は年中~年長頃が目安となりますが、現在のお子様の発達段階やことばの様子によってはことばの獲得を目指す訓練と並行して実施していく場合があります。発音の改善を目指す上で正しい音を聞き取る力も大切なため、聞き取る練習・発音する練習を実施していきます。発音する際の口や舌の場所や動きを指導しながら、単音→単語→文章と段階的に正しい発音の獲得を目指します。

※上記は訓練の進め方の一例です。一人一人に合った訓練内容・進め方・頻度をご相談の上決定していきます。