発達障害の原因って?
発達障害に原因ってあるの?
発達障害は、何らかの原因により先天的に脳の一部の機能に障害があることが原因とされています。しかし、発達障害を引き起こす原因やメカニズムなどはまだはっきりとは解明されていません。
そのため、原因不明と扱われるケースがほとんどです。一部では、胎児期の風疹感染など感染症や遺伝子の異常などが影響するともいわれています。
昔からよく子供がじっとしていられない事や勉強ができないのは、「親のしつけが悪い」「愛情が足りていない」などと言われる事がありますがそれは誤った考え方です。
発達障害って遺伝するの?
今日も発達障害に関係があると考えられている複数の遺伝子の発見や研究が進められています。ただし、発達障害に関連する遺伝子を持っていても必ずしも発症するわけではありません。また、親から子へ必ず遺伝するものでもありません。
現在「様々な遺伝的要因と環境要因が相互に影響しあって発達障害の症状が表れる」という説が有力ですが、全ての方にあてはまるような唯一つの原因はないと言われています。
脳から見た発達障害
生まれつき脳の一部に異常がある。と言われても、イメージが湧きづらいですよね。脳の機能と一緒に解説していきます。
図のように脳には様々な局在と役割があります。メカニズムははっきりとはしていませんが発達障害のある人の脳の場合、これらの部位が小さかったり、血流が弱かったりしてうまく機能していないという事例も報告されています。
脳の重要な部位の一つとして「前頭葉」があります。
「前頭葉」は脳の前の部分に位置し、思考・推測・人格に形成など人間特有の機能に関係している所です。この場所に障害があると、相手の気持ちを理解しにくい・場面にあった行動が取れない・計画的な行動ができない・整理整頓ができない等の症状がみられます。
発達障害はこの脳の部分の働きに何らかの偏りや異常があるとされ、思考よりも五感からの刺激を敏感に感じ取ってしまいます。そのため集中し、考える事が苦手になるのです。
発達障害の特徴と関係が深い脳の部位を紹介していきます。
前頭前野
ワーキングメモリー・推論・注意力・判断・感情のコントロールをつかさどります。
【働きが弱いと】
意欲・思考・判断などの能力が弱くなる
我慢できず衝動的に動いてしまう
人の気持ちを理解するのが苦手
マルチタスクが苦手
線条体
行動や運動の調整をつかさどり、体の動きをスムーズにします。
【働きが弱いと】
不器用になる
体をうまくコントロールできない
扁桃体
不安・恐怖・不快・快感などの情動に関わる部位です。
【働きが弱いと】
情動をうまくコントロールできない
不安や不快を感じやすい
側頭葉
聴覚や味覚、情動などの中枢が存在します。右側頭葉は、人の表情や動作から意図を理解する機能をにないます。左側頭葉の言語中枢は、言語の理解や字を読む能力をにないます。
【働きが弱いと】
言語の理解や読み書きが苦手
人の表情や動作から意図を汲み取るのが苦手
まとめ
発達障害の原因を脳の観点から解説しましたがまだ解明されていない部分が多く、絶対にこれといった原因は明らかになってはいません。
ただし言えることは「しつけや育て方が悪い」「愛情が足りていない」というのは、間違いということです。
大切なのは今子供に見られている症状を頭の働きや行動など包括的な視点で捉え、日々の指導や療育に活かしていくことですね。