発達障害グレーゾーンって?
「発達障害」という言葉がメジャーになってきたのに伴い、「発達障害グレーゾーン」という言葉もよく耳にするようになりました。なんとなく「グレーゾーン」と聞くとイメージはつきますが、実際にはどのような状態を指すのかや注意点などを解説していきます。
発達障害のグレーゾーンとは
そもそも発達障害のグレーゾーンとはどのような状態を指すのでしょう?
それは発達障害特有の症状や特性があるものの、ICD-10(WHOが出している基準)やDSM-5(アメリカ精神医学会が出している基準)が定めている診断基準を全て満たしてはおらず、確定診断がついていない状態の事を指します。
少し分かりづらいですよね。
例えば学校の勉強にはついていけているけど空気が読めず周りの友達と喧嘩ばかりしていたり、記憶力はあるのに忘れ物が極端に多いなどです。日常生活は大きな問題はなく過ごせているけど、特定の場面や条件で特性が見え隠れする状態です。
また症状の強弱にも幅があるため診察時に症状が落ち着いていた場合、診断がおりず経過観察になる事や医師の問診が影響し判断が分かれる場合もあります。
ただ、「発達障害グレーゾーン」という正式名称はありません。正式に診断名が出される前の状態であったり、医師から自閉症スペクトラム障害やADHD等の傾向がありますね、と言われているだけのあくまでも”状態”を指す総称です。
グレーゾーン=症状が軽い ではない
よくある質問としてグレーゾーンという事は症状が軽いって事?と思いがちですがそうではありません。
もちろんケースよっては症状の見え方がマイルドな事もありますが、特性や症状の軽い・重いで判断されるものではないため グレーゾーン=症状が軽い ということではありません。
前述でも触れましたがその時々の場面や条件によっては深刻な症状が出てくる可能性があるので、グレーゾーンだから支援はいらないとするのではなく、しっかりとどんな事が苦手なのかを見極めて対応していくことが大切です。
注意したいのは二次障害
発達障害の診断を受けている場合もそうですがグレーゾーンの特に軽度の子供は二次障害に注意したいところです。周りの大人から見れば一見問題のない子でも本人の中では「出来ない」「分からない」が積み重なり生きづらさを感じているのです。
また特定の教科だけ出来ないと大人からは「他は出来ているのに、この教科だけ嫌いだからから怠けている」と誤解され自尊心が傷つけられる事も考えられます。
グレーゾーンにいる人、児はそうしたマイナスの連鎖を断ち切ることができず不安障害やうつ病といった精神疾患・睡眠障害に陥ってしまい、ひどいと引きこもりやいじめに発展してしまうケースが多いといいます。
まとめ
人の心情としてはグレー=セーフだよね?という気持ちから発達障害グレーゾーンと診断が出るまで受診を繰り返す、いわゆる「ドクターショッピング」を繰り返すケースもあるようです。
大切なのは子供にどんな特性があるか・何に困っているか、にしっかりと向き合い環境調整や療育などの対応をしていくことです。
また症状が軽く専門的な支援を必要としない場合でも、何が苦手かを把握し健康面や精神面を意識的に見ていくことが、二次障害への予防に繋がると思います。